展覧会詳細

特別展「 信楽への眼差し」

開催日2015年10月4日(日)〜2015年12月13日(日)
滋賀県立陶芸の森陶芸館

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 信楽焼は中世の時代に始まり、現代まで途切れることなく続いてきたやきものです。
 その長い歴史の中で、時代に寄り添いながら様々なやきものを生み出し、人々に選ばれ使われてきました。
 信楽焼は、鎌倉時代13世紀の後半に壺・甕・鉢など人々の日常器を焼成する窯として始まりましたが、室町時代15世紀には、「わび」「冷え」など日本独自の美感を取り入れながら展開しようとしていた茶の湯の世界に、茶道具としてとり入れられました。
 それは、信楽焼にとって大きなエポックメイキング(転機)となったといえるでしょう。
 また江戸時代には、信楽は茶壺をはじめ、良質な大物陶器の産地として知られ、徳川将軍家への献上茶を詰める「腰白茶壺」が信楽で焼かれたこともありました。
 特にこの時代には、釉薬をほどこさない「焼締陶器」から、釉薬をほどこした「施釉陶器」へと、信楽焼は技法上の大きな転換を迎え、実用陶器の一大産地へと発展をとげています。しかしその後、昭和期中頃の古陶磁ブームを背景として、多くの有識者や古陶磁愛好家によって、中世の大壺など古信楽の持つ魅力が再認識されました。長珪石の石粒を含み、ほんのり赤茶色に発色した無釉焼締めの土肌、窯中で薪の灰が器に降りかかり変化した自然釉、焦げ、灰被りなど、火と土が生み出した信楽焼独特の美は、現在もなお多くの人々を惹きつけてやみません。

 陶芸の森は今年、開設25周年を迎えます。これを記念する本展では、古信楽の名品を一堂に会し、各時代の人々の眼差しが信楽焼にどのように向けられてきたのかを見つめます。

 

第1章 信楽茶壺ー信楽陶工の勲章

 信楽焼の茶壺は、既に室町時代には、茶人から高い評価を受けていました。
そして江戸時代前期には、徳川将軍家への献上茶を詰めるための「腰白壺」が信楽で焼かれました。諸大名たちもこれにならって信楽の腰白茶壺を用いたことが知られています。その後大正期頃まで、信楽焼の主産品として大小さまざまな茶壺が大量に焼かれていました。
 昭和9(1934)年に信楽を訪れた陶芸家・河井寛次郎(1890-1966)は、「ここで出来た茶壺は、かつては全国の葉茶屋の店先を飾っていた。青い茶の簾薬や白や青の壺がそれである。これは信楽の名誉ある勲章であったが、近年 全く作られなくなった。」と、既にこの頃つくられなくなっていた信楽茶壺を懐かしむ言葉を残しています。

「ずいずいずっころばしごまみそずい、茶壺に追われてとっぴんしゃん・・・」
徳川将軍家献上の宇治茶は、信楽焼の茶壺に詰められて運ばれた。

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「献上新茶壺」
六代信開山
大正4(1915)年
御大典記念として再現制作
宇治市歴史資料館蔵

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「掛流茶壺」
明治-大正時代
滋賀県立陶芸の森 陶芸館蔵

第2章 茶陶信楽への眼差し

 信楽焼は、鎌倉時代13世紀の後半に日常器を焼成する窯として始まりましたが、室町時代15世紀には、「わび」「冷え」など日本独自の美感を取り入れながら展開しようとしていた茶の湯の世界で茶道具つまり「茶陶」としてとり入られました。
 本章では、室町時代から江戸時代前期にはどのような信楽焼の茶陶が好まれていたのかを、名品を通じて紹介します。

 
 
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「肩衝茶入 銘 初時雨」
桃山時代
野村美術館蔵

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「大やぶれ手鉢」
桃山時代-江戸時代前期
公益財団法人阪急文化財団 逸翁美術館蔵

第3章 古信楽壺への眼差しー古信楽に魅せられた人々の言葉から

 中世に始まる信楽焼は、元来は釉薬(うわぐすり)を施さずに高温で焼き締める「焼締陶器」でした。しかし江戸時代の中頃から、色とりどりの釉薬を施すようになり、現在に至っています。
 その後、昭和30年代から40年代には、各地で行われた古窯発掘調査をきっかけに古陶磁への興味が高まり、古信楽に魅せられた多くの文化人らが、焼締の古信楽の魅力を語りました。彼らの言葉は古陶磁愛好家たちにも影響を与え「古信楽ブーム」が沸き起こります。
 本章では、古信楽壺に魅せられた文化人たちの言葉やエピソードと共に古信楽壺の名品の数々を紹介します。

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「大壺」
室町時代
荒川豊蔵資料館蔵(荒川豊蔵氏 旧蔵)

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「大壺」
室町時代

写真家・ 土門拳の眼差し
土門拳が撮影した信楽大壺は、古信楽ブームを呼び起こした!

今のぼくは、日本のやきものの中で、信楽の壺ほど魅力のある、そしておもしろいものはないと思うようになっている。(土門拳『信楽大壺』東京中日新聞出版局1965年発行より)

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撮影:土門拳(写真提供:土門拳記念館)
「大壺 銘 飛雲」
室町時代
入江泰吉記念奈良市写真美術館蔵
(入江泰吉 旧蔵)

展覧会概要

会 場:滋賀県立陶芸の森陶芸館
会 期:平成27年10月4日(日)~12月13日(日)
休館日:毎週月曜日(ただし10/12および11/23(月・祝)は開館し、10/13、11/24(火)は振替休館)

主 催:滋賀県立陶芸の森、京都新聞
後 援:滋賀県教育委員会、甲賀市
入館料:一般700円(560円)、高大生500円(400円)、中学生以下無料
    ※( )内は20名以上の団体料金

関連イベント

ギャラリートーク(学芸員による展示解説)
※参加無料・本展の当日入館券が必要
10月18日(日)、11月22日(日) 13時30分から(1時間程度)

やきもの体験講座①「信楽蹲(うずくまる)掛花入をつくる」(穴窯講座・初級)
日程:10月4日(日)/講師:五代髙橋楽斎氏(陶芸家)/参加費:4,500円

やきもの体験講座②「信楽大壺をつくる」(登り窯講座・上級)
日程:10月31(土)、11月1日(日)/講師:神崎継春氏(陶芸家)/参加費:17,000円 

やきもの体験講座③「和の空間に合う陶灯(とうろう)をつくる」(登り窯講座・中級)
日程:11月8日(日)  講師:谷 敏隆氏(陶芸家)/参加費:9,000円

やきもの体験講座④「豪快に盛る!まな板皿をつくる」
日程:11月15日(日) /講師:神山直彦氏(陶芸家)/参加費:3,500円