特別企画
ジャズ・スピリットを感じて… 熊倉順吉の陶芸×21世紀の陶芸家たち展
-
期間:2018年03月10日(土) - 2018年06月17日(日)
-
場所:滋賀県立陶芸の森 陶芸館
展示概要
戦後の前衛陶芸は、新しい時代の情熱に溢れた作家たちのエネルギーに満ちていました。伝統的な陶芸が主流であった中で、前衛陶芸のパイオニアのひとりとして造形的な作品を生み出していた熊倉は、常に何が伝統であるかを問いかけ、真の伝統の担い手とは、社会に根差し実験的で創造的な精神であると記しています。熊倉は強烈なサウンド、ジャズから時代精神を受け止め、ジャズの響きを土でうけとめようと試みる中で、信楽焼の日常のやきものの釉薬や技法をヒントに、新しく鮮烈な作品に仕上げました。
本展では、戦後の前衛陶芸を率いた熊倉順吉の陶芸と、1970年代のクラフトデザイン運動の盛り上がりの中、産地信楽から刺激を受けた日常の器もあわせて紹介します。また、この企画を通して彼の熱い精神に触れ、信楽で滞在制作した若手作家たちの作品も併せて展示します。信楽でさまざまな刺激を受けジャズを時代の読む手がかりとしていた熊倉と同様に、21世紀の今、訪れた信楽でそれぞれの手法で時代を捉えながら制作を行う陶芸家たちの作品を紹介します。
〈熊倉順吉について〉 1920年京都に生まれる。1957年走泥社の同人となる。1959年滋賀県立信楽窯業試験場の嘱託となり信楽陶器のデザイン指導に携わりました。その頃より石油ストーブの普及が進み、火鉢の販売が低迷する産地信楽の命脈を探るべく、熊倉が信楽の大物ロクロの技術を生かした庭園陶器をデザインし、1963年「ガーデン・ファニチャー展」を東京で行い新しい信楽焼の発信に尽力しました。そして産地信楽は、徐々に植木鉢や庭園陶器の製造に転換していきました。熊倉のみずからの制作では、信楽の伝統的な火鉢の代名詞となっていた釉薬、海鼠釉をモダンなコーヒーセットやオブジェ作品に用いていきます。熊倉は作品制作においても産地からさまざまなインスピレーションを受けていたことがうかがえます。
展示構成
第一章
ジャズに魅せられた熊倉順吉
第二章
熊倉順吉の陶芸とクラフトデザイン
第三章
信楽と関わった熊倉へのオマージュ 21世紀の陶芸家たち:陶芸の森創作研修館のゲスト、スタジオアーティストから/安藤 郁子、石山 哲也、田中 哲也、今野 朋子、村山まりあ、原 菜央、福岡 佑梨、谷口 明子
関連企画
①熊倉が訪れていた頃の信楽 写真展「50年前の信楽 海外に初めて信楽焼を紹介した研究者 ルイズ・コート」(仮称)
第一会場:陶芸館ギャラリー、平成30年3月10日(土)~6月17日(日)、
第二会場:FUJIKI(信楽地域連携拠点)平成30年3月10日(土)~4月15日(日)
②熊倉順吉の愛好していたナンバーを聞きながら~ジャズとともに作品を鑑賞
ソニー・ロリーンズなど熊倉が好きだったアーティストからピックアップ。
③ギャラリー・トーク(学芸員による展示解説)
平成30年4月30日(月・祝)、5月27日(日)各日とも13時30分~
出品作品紹介
作 家 名 熊 倉 順 吉
作 品 名 飛翔するSOUND
制 作 年 1981
サ イ ズ 51.0×52.0×33.0cm
1970年代から熊倉は、日常的に「不安定で混沌への情熱を秘めたフリージャズのサウンド」に浸っていたといいます。そして、ジャズの響きを何とか土で受けとめてみることができないかと、ジャズからインスピレーションを受けた作品を制作していました。音空間を作品にした《飛翔するSOUND》はジャズシリーズの代表作のひとつです。
作 家 名 熊 倉 順 吉
作 品 名 ブルースマン
制 作 年 1980
サ イ ズ 38.0×40.0×31.0cm
幅広い音楽を聞き、音楽から時代の呼吸を捉えようと試みていた熊倉順吉。音楽家たちが音の創造に己を賭ける姿勢にも学ぶ点が多いと熊倉は語っていました。ブルースを歌うミュージシャンの胸元に、人の顔を描いた金色のネックレスが光っています。
作 家 名 福 岡 佑 梨
作 品 名 とをひらう
制 作 年 2017
サ イ ズ パーツ:15㎝×15㎝×15㎝、100ピースのインスタレーション
2017年信楽にある陶芸の森に滞在するまで福岡は、2年間で5カ国の国々で陶芸作品を制作してきました。この作品には、訪れた国々の記憶の断片が模様や色彩となって表現されています。
観覧料
一般=600円(480円)、高大生=450円(360円)
中学生以下無料 ※( )内は20人以上の団体料金
ギャラリートーク
4月30日(月・祝)、 5月27日(日)