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特別展「信楽に魅せられた美の巨匠たち」

2018年10月06日(土)~ 2018年12月20日(木)
  • 期間:
    2018年10月06日(土) - 2018年12月20日(木)
  • 場所:
    滋賀県立陶芸の森 陶芸館
  • 入場料:
    一般:700円(560円) 高大生:500円(400円) 中学生以下無料 ※( )内は、20人以上の団体料金
  • ギャラリートーク:
    10月28日(日)・11月11日(日) 各日とも13時30分より~

展示概要

中世古窯以来の伝統を誇る陶郷・信楽。豊かな自然と陶土に恵まれたこの地では、焼締め陶をはじめ特色あるやきもの文化が育まれてきました。長年にわたり人々の生活を支え続けてきた伝統と多彩な技術への興味や関心から、数多くの作家が信楽を訪れています。これまでも、国内外を問わずさまざまな作家が、この地で作陶を試みてきました。

  近代陶芸の巨匠として広く知られる富本憲吉や河井寛次郎、そして現代陶芸の開拓者として活躍した八木一夫や熊倉順吉。また、岡本太郎をはじめ絵画や彫刻の世界で活躍した作家たちも、信楽で作品制作に挑んできました。岡本が1970年の万国博覧会で手掛けた太陽の塔(黒い太陽)は、彼等のそうした活動を象徴する取り組みといえるでしょう。

  彼等はどのような経緯でこの地を訪れ、どのような仕事を手掛けてきたのでしょうか。本展では、近現代を代表する作家13人の作品や関連資料を紹介。彼等の信楽での足跡をたどりながら、幅広い交流のなかで育まれてきた信楽のやきもの文化の魅力を探ります。

展示内容

Ⅰ 理想を求めて-近代思潮と個人作家の挑戦(37件)

 民主主義思想が高揚した近代思潮のなかで、活性化した社会運動の動向は、作家の芸術活動にもさまざまな形で影響を及ぼしたといえよう。富本憲吉と河井寛次郎や濱田庄司らは、作品制作の一方で、信楽の地で「生活と芸術」「地方の復権」をテーマに、自身の芸術活動の在り方を模索している。彼等の信楽での試みは、戦後富本に薫陶を受けた熊倉順吉、国内外の工芸思想に精通した、日根野作三らのクラフト運動に継承されてゆく。

〔出品作家〕 富本憲吉/日根野作三/熊倉順吉/河井寛次郎/濱田庄司

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富本憲吉 
「土焼鉄描銅彩大和風景大皿」
1929年制作 個人蔵

 

Ⅱ 出会いと発見のなかに-新たな創作への揺さぶり(29件)

  新たな発見と出会いは、創作活動において、不可欠な要素といえよう。国内外の古窯址や産地での調査や制作活動を通して、作家は自身に揺さぶりをかけてゆく。北大路魯山人は、信楽の陶土との出会いから、独自の織部や志野を大成。また荒川豊藏と小山冨士夫は、この地の素材と技術から作陶の幅を広げている。信楽で陶の原点を再発見した、八木一夫と鈴木治は、薪窯作品の制作自体を、新たな仕事に対峙してゆく原動力に位置づけた。

〔出品作家〕 北大路魯山人/荒川豊藏/小山冨士夫/八木一夫/鈴木治

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北大路魯山人 書「樂山樂水」 1925〜1939年 個人蔵

Ⅲ 産業とアート-作家を喚起する技術(17件)

  制作と密接に関わる技術は、作家の創作意欲を喚起し、新たな挑戦を促す、大きな推進力のひとつである。信楽では、近江化学陶器の建築陶器への進出と、そこで育まれた技術が産業と芸術を結ぶ端緒となり、後に陶光菴と大塚オーミ陶業に継承されてゆく。岡本太郎はじめ、ロバート・ラウシェンバーグや横尾忠則らが、信楽で手掛けた新たな取組みは、現代美術の新たな方向性を示す事例として、国内外で大きな反響を呼んだ。

〔出品作家〕 岡本太郎/ロバート・ラウシェンバーグ/横尾忠則